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ヴァイオリンの豆知識
ヴァイオリンのニスのこと
 ヴァイオリンの表面にはニスが塗られています。その役目は楽器の木を保護する、楽器の美しさをより引き立たせることのほか、音の振動を増幅させるという重要な役割があります。

 ヴァイオリンのニスは、家具などに塗られるニスとは性質がまったく異なり、音響効果に優れた柔らかなニスが塗られています。ニスの種類には樹脂をアルコールで溶かす「アルコールニス」とテレピン油で溶かす「オイルニス」の2種類があります。

 良質なヴァイオリンは、ニスを1層塗ったら1週間以上乾かし、それを何十層も重ねて塗りこんで仕上げていきます。そのため仕上がりまでに数ヶ月かかりますので、ヴァイオリンが高価になるのがうなずけます。一方、廉価ヴァイオリンはニス塗り仕上げではなく、ラッカーやポリウレタンなどポリ系塗料のスプレー仕上げになっています。

 ニスを塗ることで、ヴァイオリンの音は低音から高音まで美しく響くようになります。ニスを塗らないヴァイオリンは非常に高い周波数帯の音を出しやすく、耳障りな音になってしまいますが、ニスを塗ることにより木材が硬化し、この耳障りな音を取り除く効果があります。

 ストラディヴァリを初めとして、オールドヴァイオリンと言われる名器のニスが全体に残っている楽器はほとんどありません。ヴァイオリンのニスもふつうの工芸品と同じく年月を経れば色は変わり、剥げてきますので古い楽器のニスは後に修復されているケースがほとんどです。

 ニスはたとえ分量通りの調合をしたとしても同じものは二度と作れません。調合する場所、気温、湿度などの条件により微妙に変化します。ニスと音の関係については様々な伝説と説があり、未だに解明が出来ない部分といわれています。

 名器と言われているヴァイオリンのニスは「調合された秘伝のニス」であるとか、「人の血液が混ぜてある」とかいった言い伝えもあるとかないとか・・・。現在の技術では目立たないように修復することができますが、その音色まで修復されているのかは疑問です。