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ヴァイオリンの仕組み
材質
ヴァイオリンは、木材でできています。表板はスプルース(日本では一般に米唐檜(ベイトウヒ)と言われている松科の木材)で、裏板、側板、ネックはメイプル(楓)が一般的に用いられています。この木材の材質はヴァイオリンの命である音を良くも悪くも左右します。同じ種類の木材でも産地により、また1本1本でそれぞれ違います。
 木材は湿気による反りなどの不正な歪みを防ぐため乾燥されますが、この乾燥にかける年月によっても価格が違います。現在では、乾燥機を用いて人工的に乾燥させたものを使用する場合もあります。また、表と裏板以外の糸巻きや指板、顎当て、テールピース等には紫檀(したん)、黒檀(こくたん)が使われています。


魂柱
ヴァイオリンだけでなく擦弦楽器の大きな特徴は、駒の部分に魂柱と呼ばれる丸棒が立っていることです。魂柱は表板と裏板を直接つなげる唯一の棒で、魂柱により音が裏板まで振動し、楽器全体に音が響くようになります。

ニカワ
ヴァイオリンはニカワによって接着されています。ニカワで接着された木材は蒸気を当てることで表板と裏板を比較的簡単にはがせるため、解体して修理や部材の交換が可能になっています。300年以上も前の楽器が今も使用できるのは、解体して修理ができるためです。

ニス
ヴァイオリンの表面にはニスが施されていますが、これは仕上げを美しく見せるという他に、木を保護することと、音質を向上させるためといわれています。良質なヴァイオリンではニスを手作業で丁寧に何度も何度も塗りこんで仕上げます。
 ニスを1層塗ったら1週間以上乾かし、高級品になると十数回にわたって重ねて塗るといった気の遠くなるような作業をします。良質なニスは膨張圧縮変化に従って楽器をきちんと包み込むので、小さな傷なら数日で元にもどります。



ヴァイオリンの弦は、もともとはガット(羊の腸)を用いていましたが、現在では切れにくい、音程がくるいにくいということからスチール弦が主流となっています。弦は正面から見て左が低音、右が高音の弦で、ドイツ語読みで高い音から順に、E線(えーせん)、A線(あーせん)、D線(でーせん)、G線(げーせん)と呼ばれています。


弓はヴァイオリン本体と同様に音を作る重要な要素です。弓は木製の棒と馬のしっぽの毛で作られています。木製の棒の材質は ブラジル東北部で採れるフェルナンブーコの木が高級品として用いられていますが、現在では伐採が禁止されていて、代わりにカーボンファイバーの弓がプロにも使われるようになってきているようです。
 特に、19世紀のフランスでは良質のペルナンブーコ材を用いて優れた弓が多く製作されました。現在ではそれらはオールドフレンチボウとして扱われ、数百万円〜数千万円もしています。

馬のしっぽの張られた弓には松ヤニを付けて弦を擦り音を出します。