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ヴァイオリンの豆知識
ヴァイオリンの弦のお話
 古くから、ヴァイオリンの弦にはガット(羊の腸からつくった糸)が使われていました。よく知られているように、ガットはヴァイオリンだけでなく、テニスのラケットなどにも張られています。17世紀のバロック・ヴァイオリンでは、ガットが裸のまま使用されていましたが、その後、18世紀に入ると、太いG線を銀で巻くようになりました。ガット弦を銀で巻くと、弦の保護になり発音もはっきりとします。その後、D線にも巻き弦が使われるようになり、20世紀初めからはE線には金属弦が使われるようになりました。A線やD線はアルミニウムで巻かれることが多くなり、G線は銀や金で巻かれるようになりました。

 現在は、E線のみならず、すべての弦について金属弦が普及しています。また「人工ガット」ともいうべき、ナイロン弦(巻き弦)が開発され普及しています。ガット弦は柔らかくて豊かな音がしますが、金属弦のような強い音が出ない、また高価で切れやすいのも難点といわれています。

ヴァイオリンの弦の呼称
高い方から

1弦(E線) 2弦(A線) 3弦(D線) 4弦(G線)

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弦の種類と特徴
ガット弦
 古くから、あらゆる弦楽器の弦として広く使われてきました。現在ではガットが裸のまま使用されることはなく、それを芯材として、糸状の金属を巻き付けたもの(巻線)が使われるようになっています。
しなやかさが特徴で、音は豊かで柔らかく温かみがありますが、ピッチが不安定で、チューニングも困難で寿命も短いのですが、音色の豊かさに魅力があり、ガット弦を使い続ける演奏家も多いようです。


ナイロン弦
 その名の通り芯材がナイロンの巻線です。ナイロンといっても実際には様々な合成繊維が使われています。ナイロン弦はガット弦とスチール弦の中間的性質を持っています。繊維が均一であるためガット弦より取り扱いやすく、スチール弦よりしなやかです。そのため近年ではたいへん人気があり、多くの人がナイロン弦を使っています。特に有名なのはドミナントに使われているペルロンです。


スチール弦
 らせん状に束ねた鉄線を、タングステン、アルミ、銀線などで巻いています。そして、巻き線の種類であり、複雑な音色が出るようになり、チェロなどに多く使われています。

しなやかさや音の柔らかさでは劣りますが、ピッチが最初から安定していることが最大の特徴で、また低価格のため、中学・高校のオーケストラや、分数バイオリンに多く使われます。音色も金属的な印象を受けますが、取り扱いやすいため初心者におすすめです。

 弦が古くなると、音程が取りづらくなったり、音に艶がなくなったりしまので、プロの演奏家ではだいたい1ヶ月以内には交換します。また、1本だけ切れてしまったら、全体の音のバランスが狂わないよう、できれば全部交換するのが理想ですが、まだ新しければ切れた弦だけを交換しても大丈夫です。
 本番のときなどで、できるだけ良い音で演奏したい場合には、直前に交換するのでなく、弦が安定するよう1週間ほど前に交換するのがよいでしょう。弦は値段に比例して音がいいというわけではなく、楽器との相性やその人の好みにもよりますので、どの弦がいいかというのは一概には言えません。