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いつもいつもエキストラ

 
 オーケストラに定席を持たない(団員がいない)サクソフォンとユーフォニアムは必要なときだけ「エキストラ」(通称トラ)として呼ばれる楽器です。

 このサクソフォンとユーフォニアムは吹奏楽ではかなり活躍する楽器ですが、その他の楽器のほとんどがオーケストラに登場するなかで、このサクソフォンとユーフォニアムはオーケストラでは、「アウェイ」的な存在になっています。

 オーケストラでは、サクソフォンが活躍する曲、「アルルの女」、「展覧会の絵」、「ボレロ」・・・etcなどを演奏するときは、エキストラを呼んでこなければなりません。

 ドイツのオーケストラ界では長いこと、サクソフォンは慣習的に「クラリネット奏者の持ち替え楽器」という扱いであったようです。

 しかし、帝王カラヤンが指揮するときは、サクソフォン奏者は必ずパリからダニエル・デファイエを呼んだ、というのは有名な話ですが、カラヤン以外の指揮者の時は、バスクラリネット奏者が持ち替えて吹いたとのことです。

 サクソフォンとユーフォニアムが定席をもてなかった大きな理由としては、楽器の誕生が遅かったというのがあります。

 ユーフォニアムができたのは1930年代で、すでにロマン派を代表する作曲家のほとんどが亡くなっていました。

 またサクソフォンの誕生は1864年ですが、オーケストラの中心になるレパートリーはドイツ物が多いため、フランス的なサックスの音色はあまり好まれなかったという人もいます。

 サクソフォン奏者からみると、ソロやアンサンブルで活躍中のプロでも、オーケストラにときどきおじゃまする立場というのは、いつになっても何回経験しても緊張するものだといいます。

 オーケストラの中でのバランスと、そのオーケストラの一歯車としてどこまで溶け込めるか・・・。また逆にせっかく呼ばれたからには少しでも個性を出しアピールしたい・・・との複雑な葛藤があるとのことです。

 サクソフォン奏者の雲井雅人さんはHPの中で「オーケストラ内の奏者として、これまで数多くの経験を重ねてきたが、自分の音が周囲の管弦楽器と溶け合わないことに悩んだ」と言っています。

 サクソフォン奏者、ユーフォニアム奏者に栄光あれ。